Classici giapponesi con furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Leggi 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.438 caratteri · 238 schermate
喜兵衛は身をかくす暇がなかった。今夜の月は、あいにく冴え渡っているので、竹槍をかい込んで突っ立っている彼の姿は、浪人の眼の前にありありと照らし出された。
こうなると、喜兵衛はあわてた。見つけられたが最後、もう猶予は出来ない。彼は持っている槍を取直してただひと突きと繰出すと、弥次右衛門は早くも身をかわして、その槍の穂をつかんで強く曳いたので、喜兵衛は思わずよろめいて草の上に小膝をついた。
相手が予想以上に手剛いので、喜兵衛はますます慌てた。彼は槍を捨てて刀に手をかけようとすると、弥次右衛門はすぐに声をかけた。
「いや、しばらく……。御貴殿は手前の笛に御執心か。」
星をさされて、喜兵衛は一言もない。抜きかけた手を控えて暫く躊躇していると、弥次右衛門はしずかに言った。
「それほど御執心ならば、おゆずり申す。」
弥次右衛門は小屋へはいって、かの笛を取出して来て、そこに黙ってひざまずいている喜兵衛の手に渡した。
「先刻の話をお忘れなさるな。身に禍いのないように精々お心を配りなされ。」
「ありがとうござる。」と、喜兵衛はどもりながら言った。
「人の見ぬ間に早くお帰りなされ。