Classici giapponesi con furigana
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ぎょもん
魚紋
吉川 英治
Leggi 魚紋 (ぎょもん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.582 caratteri · 30 schermate
二
いつも高利を借りて苦しんでいる。第一病家を廻っている時間よりも、この碁会所にいるほうが遙かに多いという医者様だった。
二
『済まないが、今度はもらったぜ』
一局、勝敗がついたとみえ、盤の下にかくしてある賭金を、攫うように懐中へしまいこんで、
『――何うだな、其っ方の風雲は』
云いながら、隣りの対局へ、横から顔をつき出したのは、横に黒い刀傷のある村安伝九郎である。
これは御家人と自称している男で、三十がらみの苦みばしった骨柄であった。背が高く、手脚が長くそして、痩せているので、岡場所などを通ると売女たちが、
(蟷螂さん――)
と綽名して呼ぶ。
その蟷螂さんと対局して、今、賭けておいた幾らかの金を取られ、悄ぼりと、もう石を崩した盤を、いつ迄、未練げに眺めていたのは、浮世絵師の喜多川春作だった。
気が弱くて、闘志がなく、おまけに碁はカラ下手と来ている春作は、よせばいいのに、毎晩ここへ来なければ寝られないと云っている、来れば又、必ず鴨なのだ。
(何の因果か)
と、自分でもこぼして居ながら、今夜もいつ迄、帰ろうとはしない。
もう更けているので、よく流行るこの碁会所も、帰る者は帰ってしまったのであろう、座敷に居て、夜も知らないのは、こう四名だった。