Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate

Aozora Bunko

「ならぬッ」

弥助は一喝をくれて、かたわらの森啓之助を顧みながら、

「こんな奴にかまっていては暇つぶし。それッ、お先へおやンなさい」

「心得た」というと、森啓之助、ほか八、九人の侍とともに、一団になって駕尻をあげた。

「ええ、待たぬか」と、弦之丞が、それを支えんとする隙を狙って、

「邪魔するなッ」

粗暴な九鬼弥助が、抜き打ちに斬りつける。

はっ――と思うと、弦之丞は、身を沈めて、手元へのめッてきた弥助の大刀を、目もとまらぬ隙にもぎ取った。しまッた! ――弥助は、色を失って飛び退いたが、時遅し、法月弦之丞に持たれた一刀は、あだかも名刀に変ったかと思われるばかりな冴えを増して、片手打ちに、ズウンと弥助の肋まで斬りこんでしまった。

「わッ……」細かい血が濛とあがる……。九鬼弥助は空をつかんで、楢の傾斜へ落ちこんで行った。

銀五郎の駕を止めて、こなたに立っていた天堂一角は、その態を見るなり、

「おのれッ」といいざま、ジリジリと詰め寄ってきた。

一角は、啓之助のような、白面柔弱でなく、また、弥助よりも兇暴であるかもしれないが粗暴ではない。その剣を放つにしても、彼らの腕とは格段な差があり、弦之丞にとっても、侮るべからざる剛敵である。