Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「では当時にも、天草乱後の虚をうかがって、徳川討伐の壮図があったのでござろう」
「いや、その辺は分りかねる。しかし、今日なお渭山の城に蓄えある、武器、船具、楯、強薬、鏃、金銀の軍用は、みな当時、天草より持ち込んだ物や、義伝公の御用意であったことはたしかでござる」
「ウーム……それが百二十年後の今日になって、皇室の御為に、役立ってまいるとは不思議な訳」
「少し話がそれましたが、さてその義伝公、泰平の豪傑はとかく不遇で、遂に毒殺されました」
「ア、誰に?」
「家光の廻し者」
「隠密でござるか」
「イヤ、義伝公の奥方であった。それは家光の姪で、幕府より義伝を毒殺せいという旨をうけて、阿波へ嫁いできた美女でござる」
「己が殺そうとする者へ嫁いでくる花嫁の心。それは思いやらるるが、徳川の陰険政治、よく現れておりますのう」
「記録によれば正月の末、城下千光寺の徳命観梅の日でござった。義伝公の梅見の酒へ毒を盛りました。それは世にも恐ろしい鴆毒、さすがの豪傑も濠の石橋まで馬を返して斃れました。徳川家より嫁いできたその奥方、また毒を仰いで助任川に身を投じた。すわ、城内城下は申すに及ばず、阿波一国の騒動、鼎のわくがごとしでござる」