Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
拙者はどうでもよろしいが、お綱を質に取られたままでは、そこもとの立場として、まさか、このままお帰りになれますまい。受け出すか、お流し召さるか、ご相談があろうというもの。さ、さ、ずっとこちらへ――」
「ウム!」と孫兵衛、余儀なく大きく頷いて、ズッとそこへ引っ提げ刀で入りこんだ。
「いかにも、お綱を申しうけて帰りたいが、まさか、鏡の裏から屋敷の外へなど、抜け道があるのではあるまいな」
「お案じなさるまい。只今も申したような奈落の闇、逃げてくれればまだよいが、悪くすると、あのまま、息が絶えたかもしれぬ」
「えっ!」
死なしてしまっては玉なしである。お十夜はやや狼狽して、また鏡のところへ立とうとすると、周馬は、人の悪い薄ら笑みを浮かめて、
「したが、まアお待ちなされ、生死のところは、いずれこの周馬が後に見届けてまいるであろう。その前に、そこもとのご希望を一つ……いやなに、それは伺うまでもなかった。つまり、お綱を手に入れたいご一念、問うだけ野暮でござりますな。いや万々承知いたしてござる。じゃあ、こんどは一つ、拙者側の注文を申し出よう、それをきいて貰わにゃならぬ」
「うむ、お綱を身どもに渡すかわりに……?」