Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「冗談いっちゃいけない」
煙管を構えて、旅川周馬、五、六寸ほど後ずさりして、
「そんな刀を引ッこぬいて、こけ脅しをする貴様の方が、よッぽど甘くみている。そりゃ、腕にかけたら、貴様の方が強いだろう。しかし、ここは甲賀組の墨屋敷、おまけに悪智にたけた周馬様がお住みの家だ、どんなカラクリがしてあるか、よく四辺や足もとを見廻してから、手出しをするならするがいいぞ」
と、いわれたので、お十夜もぎょッとした。
みると周馬の左の手が、いつのまにか、部屋の角柱に伸びていて、そこにある鈎のようなものへ指をかけている。
「引くぞ、こいつを」
周馬は相手の眼色に、そのうろたえを察しながら、
「床板ぐるみ奈落へ行くか、上の天井がズンと落ちてくるか、一つ仕掛けの種明しをやって見せてもいい。だが、そんなことで命を無駄にするのももったいないじゃないか。ええ、お十夜。まだお互に、これから花も実も結ぼうという悪党同士だ、そう怖い面をしておらずに、周馬の相談に乗るほうが得策だろう」
「ウーム……」と、さすがな孫兵衛も、やや薄気味わるくなって、抜いた助広のヤリ場がなくなってしまった形。
いうまでもなく、この部屋には、なにか危険なカラクリ普請がしてあるのだ。