Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
……ア、旦那、そこに小さな流れがございますぜ」
闇から闇をフワフワと来る小提灯。いつか御行の松の前を右にそれて、一面の藪だたみ、ザザザザッという笹鳴きの声を聞きながら、男は縞の着物の袂で提灯の灯をかばってゆく。弦之丞は、しきりとしゃべっている男の話には、よい程な生返辞をしていながら、ひそかに笛嚢の紐を解き、秘差しの一刀へ左の手をかけて、プツンと拇指で鍔裏を押しきっていた。
どうせこの男も、古梅庵の若いものではあるまい。旅川周馬の手先になって、自分を誘い出しにきた囮に違いない――と見抜いたので。
そのせいか、男はわざとらしからぬように、いつも、弦之丞の左へ左へと寄って、小提灯の明りを、たえず、自分よりは対手の前へ寄せて歩いている。この分でみると、或いは、万吉がいったように、飛び道具の惧れがあるかもしれない。
提灯の明りは、暗夜の狙い撃ちに、何よりな的であるから、心得のある武士は、くわえ煙管と提灯は決して持たない。
藪だたみがつきて、道が二股にわかれる所へ来ると、男はツウと、また右寄りへ進もうとした。
「待て、道が違うようではないか」
弦之丞が立ち止まると、男はギョロリとすごい眼をくれたが、それは対手に感づかせない程な瞬間に笑い消して、