Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「ホホホホ、雲助なんて、何という他愛がないんだろう……」お綱は見送って明るく笑った。
「おい――」その肩へ、ソッと手をのせて、お十夜孫兵衛。
「相かわらずすばしッこいなあ」
「あんまり憎いから、ちょッとからかってやったのさ。だがお十夜さん、妙な所で落ち合ったねえ」
「そッちは不意に思うだろうが、この孫兵衛は、ぬきや屋敷のあの騒ぎから後、どんなに跡を探していたか知れやしねえ」
何か一物ありそうなお十夜――あのそぼろ助広の鉄色のようにトロリとした眼でお綱を視る……。
曇るかと思うとカーッと照る、松並木の葉洩れ陽が、肩をならべて行くお綱とお十夜のうしろ姿へまばゆい明暗を綾どってゆく。
「じゃ、あの騒ぎから後に、それほど私の跡を尋ねていたのかい」
「こんどのことをきッかけに、一つ江戸へ出てみたいと思うのだが」
「アアそれもいいかもしれないね」
「女のところへ男が転がり込むなあ、少し逆縁かもしれねえが、当座の間、お前の家へやっかいになるつもりだ」
「おやすいこと、江戸へ帰ればお綱だって、少しは顔がきくから、安心しておいでなさいよ」
「ありがてえ、これでおれも気が落ちついた」
「気が落ちついたのは私のほう……」