후리가나로 읽는 일본 고전
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しゃんはい
上海
横光 利一
横光 利一의 上海(しゃんはい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,628자 · 292화면
濡れた菩提樹の隙間から、縞を作った瓦斯燈の光りが、春婦たちの皺のよった靴先へ流れていた。すると、その縞の中で、ひと流れの霧が急がしそうに朦朧と動き始めた。
「帰ろうか。」と一人の女がいった。
春婦たちは立ち上ると鉄柵に添ってぞろぞろ歩いた。一番後になった若い女が、青ざめた眼でちらりと参木の方を振り返った。すると、参木は煙草を銜えたまま、突然夢のような悲しさに襲われた。競子が彼に別れを告げたとき、彼女のように彼を見降ろして行ってしまったからである。
春婦たちは船を繋いだ黒い縄を跨ぎながら、樽の間へ消えてしまった。後には踏み潰されたバナナの皮が、濡れた羽毛と一緒に残っていた。突堤の先端に立っている警羅の塔の入口から、長靴を履いた二本の足が突き出ていた。参木は一人になるとベンチに凭れながら古里の母のことを考えた。その苦労を続けてなおますます優しい手紙を書いて来る母のことを。――彼はもう十年日本へ帰ったことがない。その間、彼は銀行の格子の中で、専務の食った預金の穴をペン先で縫わされていただけだった。彼は、忍耐とは、この生活の上で他人の不正を正しく見せ続ける努力にすぎぬということを知り始めた。