후리가나로 읽는 일본 고전
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しゃんはい
上海
横光 利一
横光 利一의 上海(しゃんはい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,628자 · 292화면
八
参木の常緑銀行では、その日の閉鎖時間が真近くなると不穏な予言が蔓延した。それは、ある盗賊団の一団が常緑銀行の自動車のマークを知っていて、取引銀行への現金輸送の自動車を襲うであろうという隠謀が、一人の行員の口から洩れ始めたことから発生した。
参木はこの噂を耳にすると愉快になった。やがて現金輸送に従う者はなくなるだろう。すれば、専務が困るにちがいないと。そうして、それは、事実になった。現金輸送のときになると、突然輸送係りの者が辞職した。
銀行の内部は俄に専務を中心にして緊張し始めた。専務は一同を特別室に集めると、賞金二十円を賭けて輸送係りを募集した。だが、勿論、生命より金銭を尊重する者は誰もなかった。何ぜなら、この支那の海港は、生命を奪うことを茶碗を破ることと等しく思っている団体が、その無数の露路の奥底に、無数に潜んでいると幻想し得られるが故である。専務は更に五十円の賞与を賭けた。だが、依然として行く者は誰もなかった。五十円が百円に昇り出した。百円が百二十円に競り上った。が、かように上り出すと、まだどこまで上るか予想を許さぬ興味のために、誰も口を開かなかった。