일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

それから夜は早目に灯を消して寝た。こうした佗しい生活にも今はもう驚けなかった。が、そうしていると昔、風邪で寝ついて妻にまめやかに看護された時のことが妙に懐しくなった。すぐ近くにある町医に診察してもらうのに、わざわざ妻に附添って行ってもらった。『赤ん坊のような人』と妻はおもしろげに笑った。

彼の眼には夕方の交叉点附近で街を振返ると、急に人々の服装が春らしくなっていて、あたりの空気が軽快になっているのに驚くことがあった。焼残った街はたのしげに生々と動いているのだった。だが、たえず雑音のなかに低い嘆きとも憧れともつかぬ、つぶやきがきこえた。ふとある日彼は雲雀の声がききたくなった。青く焦げるような空にむかって舞上る小鳥の姿が頻りに描かれた。彼は雲雀になりたかった。一冊の詩集を残して昇天できたら……。大空に溶け入ってしまいたい夢は少年の頃から抱いていたのだ。できれば軽ろやかにもう地上を飛去りたかった。

だが、何かはっきりしないが、彼に課せられているものが、まだ彼を今も地上にひきとめているようだった。

ある日、彼は多摩川へ行ってみようと思いたつと、すぐ都電に乗った。