일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

やがて、卵はかえったが、どれも育たなかった。梅雨の頃、三羽の雛が生れこんどは揃って育ちそうであった。が、母親がぽっくり死んでしまった。すると、残された雄が母親がわりになり、せっせと餌を運んでは、巧みに仔を育てて行った。雛はみな無事に生長して行った。一羽の雛はもう囀りを覚えはじめ、わけても愛らしく頼もしかった。

ある日、カナリヤの箱を猫が襲った。気がついた時には、金網がはずされており、箱の中は空であった。が、庭の塀の上に雄のカナリヤと二羽の雛がいた。この父親は仔をつれて、すぐに箱のなかへ戻って来た。だが、一羽の一番愛らしかった雛は、父に随わず、勝手に黐木の梢の方を飛び廻っていた。「あ、あそこにいるのに」と妻は夢中で空をふり仰いでいた。カナリヤは屋根に移り、そこで、しばらく娯しそうに囀っていた。その声がだんだん遠ざかり、遂に聞えなくなるまで、妻は外に佇んでいた。やがて、ぐったりして妻は家に戻って来た。耳はまだあの囀りのあとを追い、その眼は無限のなかに彷徨っているようで、絶え入るばかりの烈しいものが、妻の貌に疼いていた。妻が発病したのは、それから間もなくであった。