일본어 읽기 연습

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

最初その小さな庭に、妻と二人でおりたち、前の借主が残して行った、いろんな草木を掘返した時の子供っぽい姿が、――素足で踏む黒土の鮮やかなにおいとともに――今も眼さきに髣髴とする。そういえば、二人であの浅い濁った海に浸ったとき海水で顔を洗い、手拭いの下から覗いた顔もまるで女学生の表情だった。

はじめのころ妻は、クロッカアズ、アネモネ、ヒヤシンスなど買って来て、この土地での春を待った。私は私で、芝生を一めんに繁らそうと工夫した。春さきになると、まず壺すみれが日南に咲いた。それからクローバー、車前草、藜などがほしいままに繁った。黄色い暑苦しい花、焔のような真赤な小さな花、黄や紫の白粉花など、毎歳その土地には絶えなかった。ダリヤは花を持つ頃になると風に吹き折られた。紺菊は霜に痛められて細々と咲いた。庭の手入も、年とともに等閑になったが、鬼灯ばかりは最後の年までよく出来た。私はその青い実の一輪を妻の病床に飾ったのだった。

一つ一つはもう憶い出せないが、私は妻とあの土地で暮した間、どれほどかずかずの植物に親しみ、しみじみそれを眺めたことか。妻が死んだ翌日、仏壇に供える花を求めて、その名を花屋に問うと、われもこう、この花を、つくづくと眺めたのはその時がはじめてだった。