일본어 읽기 연습

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

はじめここへ割込んでくる仕草のうちにも何かヒステリックなものがあったが、すぐにその男は絶えまなく、この混乱についての泣きごとを呟きだしたのである。これでは全く、どうにもこうにも致しかたがない。生れて以来こんなひどい目に遇おうとは思ってもみなかった。――そういう意味のことを述べるのに、その男のうわずった大阪弁は真に迫るものがあった。それから、配偶の婦人が何か云うと、すぐそれに対っても――殆どこの男が今日の一切の悲惨を背負わされているかのように――泣声で抗議するのであった。だが、どういうものか、この男はあたりの反感を買うらしかった。

「万才はやめろ」と誰かが呶鳴った。しばらくすると、さきほど点いていた電灯も消え、それきり車内は真暗になってしまった。すると、また、防空頭巾の男の悲鳴がおこった。

「痛たた、誰かがわての頭なぐった」たちまち誰かが闇のなかから厳しく叫んだ。「誰だ……そんなわるいことをする奴は」

が、それは弱い子供を庇ってやるような、ある調子が含まれているのだった。ふと私には、あの弱い男の過去が解るような気持がした。多分、あの男もたったこの間まで安逸に馴れていたのだが、急に悲惨に突落されたもので、こうして身も世もあらぬおもいで、旅に出掛けなければならなくなったのだろう。