후리가나로 읽는 일본 고전
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면
わたしのために祈ってくれた 朝でも昼でも夜でも 最後の最後まで 祈っていてくれた おそろしくおごそかなものがたちかえってくる。荒野のはてに日は沈む……生き残って部屋はまっ暗。
いつも暗黒な思考にとざされていたが、ふと彼はその頃アパートの階下の部屋で、子供をあやしている若い母親らしい女の声を聞き覚えた。心のなかに何の屈托もなさそうな、素直で懐しい声だった。ふと彼はそれを死んだ妻に聞かせたくなるほど、心の弾みをおぼえた。その声をきいていると、まだ幸福というものがこの世に存在していることを信じたくなるのだった。宿なしの彼が、中野から神田神保町へ移れたのは、その年の暮であった。
戦火を免れているその界隈は都会らしい騒音に満ちていた。事務室に続くその一室は道路に面していて、絶えず周囲は騒々しかったが、とにかく彼は久振りにまたペンを執ることが出来た。そこへ移ってから、ある雑誌の編集をしていた彼は、いつのまにか沢山の人々と知りあいになっていた。彼が大森の知人をたよって上京した頃、東京に彼は三人と知人を持っていなかった。一週間も半月も誰とも口をきかないで暮していたのだった。