후리가나로 읽는 일본 고전
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면
それから、どうかすると事務室の方に夜遅くまで灯がつけられていることもあった。こういう時、父も事務室の方へ姿を現わすのだったが、時には母や姉たちまでやって来て、かっかと燃える火鉢をとり囲んでいた。夜業の机には大人たちがせっせと算盤を弾いたり、帳簿を繰って、一しきり傍目も振らない事務がつづいているが、やがて帳簿の打合せが済むと、くつろぎの一ときがやって来る。その潮時を見計って、静三は大人たちの間へ割込んで行くのだが、そこでは夜の空気が急に親和的に感じられる。大人たちの膝は大概、黒羅紗のずぼんを穿いていたが、妙に静三には温かく感じられたし、やに臭いにおいと羅紗のにおいがうれしく鼻さきに漾った。赧ら顔の笠岡の頬には豆粒位の赤いほくろがあったし、額の禿上った吉田は大きな掌で顳を撫でていた。痩形の青白い今泉はいつも神経質に身じろぎをしていた。みんなそれらの大人たちは静三がもの心つく前からその事務室にいたのだった。それらの大人たちはいつも何か相談しながら、素晴しいことを待っているように思えた。
「入札」「被服支廠」「経理部」……彼等の間でよくとりかわされる言葉を静三はまだ理解できなかったが、とにかく、大人たちは昔から絶えず動き廻っていて、静三がまだ生れて来ない前から、大人たちは働いていて、みんなでこんな店を作ったらしかっ