후리가나로 읽는 일본 고전
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면
そう呟くと、もう電話室の方へ行っていた。すると従兄の良一が遽かに荒々しく立上った。「よしなさい、よして下さい、そんなことは」電話室で憤然と叔父を抱きとめて宥めている声がした。その時の従兄の気持は静三にもよく解るような気がしたし、後になってもよくこの光景を思い出すのだった。
それから静三にはもっと忘れられないことがあった。恰度、父の四十九日の日に大勢の人が集まっていたが、家に集まった大人たちの騒ぎに少し興奮していた彼は、弟の修造とちょっとした悶着をひき起した。店員の吉田が割込んで仲裁しようとした。静三はふと大人の干渉に反撥をおぼえ、吉田に喰ってかかろうとした。すると酔っていた吉田はふと乱暴に彼を跳ね飛ばした。静三は嚇となってしまった。が、何度突進して行ってもその度に一層手荒く跳ね返されるばかりだった。とうとう泣号が塞を切った。すると兄の敬一がやって来て、いきなりまた彼を叱りつけるのであった。が、静三は吉田のやり方にこれまでにないものを感じ――それは何といって人に説明していいのかわからなかった――口惜しくてたまらないのであった。恰度、店の応接室と家の玄関をつなぐ石畳の上であったが、吉田の妙に意地わるい微笑が、泣狂う彼の眼さきに執拗にちらついていた。