후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいだすことなど
思い出す事など
夏目 漱石의 思い出す事など(おもいだすことなど)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 57,003자 · 113화면
十三
十三
その日は東京から杉本さんが診察に来る手筈になっていた。雪鳥君が大仁まで迎に出たのは何時頃か覚えていないが、山の中を照らす日がまだ山の下に隠れない午過であったと思う。その山の中を照らす日を、床を離れる事のできない、また室を出る事の叶わない余は、朝から晩までほとんど仰ぎ見た試しがないのだから、こう云うのも実は廂の先に余る空の端だけを目当に想像した刻限である。――余は修善寺に二月と五日ほど滞在しながら、どちらが東で、どちらが西か、どれが伊東へ越す山で、どれが下田へ出る街道か、まるで知らずに帰ったのである。
杉本さんは予定のごとく宿へ着いた。余はその少し前に、妻の手から吸飲を受け取って、細長い硝子の口から生温い牛乳を一合ほど飲んだ。血が出てから、安静状態と流動食事とは固く守らなければならない掟のようになっていたからである。その上できるだけ病人に営養を与えて、体力の回復の方から、潰瘍の出血を抑えつけるという療治法を受けつつあった際だから、否応なしに飲んだ。実を云うとこの日は朝から食慾が萌さなかったので、吸飲の中に、動く事のできぬほど濁った白い色の漲ぎる様を見せられた時は、すぐと重苦しく舌の先に溜るしつ濃い乳の味を予想して、手に取らない前からすでに反感を起した。