후리가나로 읽는 일본 고전
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 日本の怪談(ぎじんのすがた)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 56,030자 · 115화면
その新一の耳へ母親の何か独言を云ったような声が聞えた。新一はまた魔物が来たのではあるまいかと思って眼を開けた。そして、すこしも動かずに用心深くまず右の枕頭を注意した。と、その新一の眼に物の影のようなものが映った。新一ははっと思ったが、たしかに見とどけるまでは体を動かしてはならないと思ったので、じっとしたなりに再び其処を見なおした。鼠色をした犬のような獣の後のほうが見えて、それが長い尻尾を畳の上に垂らしていた。新一は夜着の下で短刀を引き抜くなりそれに向って投げつけた。
唸りとも叫びとも判らない微な声がしたかと思うと、もう何も見えなくなって新一の投げた短刀が畳の上に光って見えた。新一は飛び起きてその短刀を拾って四辺に注意した。それと同時に表座敷で吠えるように怒鳴る母親の声が聞えて来た。
「……邪魔をしやがって……、……どうするか、見ていやがれ」
新一は母親の声を聞きながら手にした短刀の刃尖に眼をやった。血とも脂とも判らない微赤いねっとりしたものが一めんに附着していた。新一はそれを見てたしかに魔物に当って魔物に傷がついたものだと思ったが、その思うしたから魔物を殺してしまわなかったのが残念になって来た。