후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
おれがこの屋敷へ住み込んだのは、雅楽頭忠清とその側近の動静を監視するためで、この屋敷の人たちとはかたき同士という立場にあるし、現にもう、滝尾の手によって密契の証文をぬすみだしている。これからなにか事があれば、かれらを裏切らなければならないだろう。しかも、そのためにかれらの好意をつなぎ、かれらに信頼されるように努めなければならないのである。
――これは耐えがたく辛いことだ。
裏切るために人の好意や信頼をつなぎとめるということは辛い。おれはそういう辛さを五年あまりも続けて来た。この年月、自分に課された義務と、裏切ることの罪悪感との板挾みになっている苦痛が、どんなに耐えがたいものであるか、知っている者は一人もないだろう。そして、おれがどれほど平常で安穏な生活を求めているかということも。そうだ、と玄四郎は心の中で、訴えるように呟いた。おれは平安で静かなくらしがしたい、この感じは手で撫でることができるほどはっきりしている。絶えず人の話しに聞き耳をたて、邸内の出来事に眼をくばっているような、こんな生活からぬけだしてしまいたい。
「おれ一人ならいまこの瞬間にでもそうするだろう」