일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

吉川 英治의 治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,609자 · 362화면

아오조라 문고

六

……ウム、逃げない逃げない、賛之丞は知らないのだ。してみると、あのお稲という女は、あれだけこッちから匂いをさせておいたのに、どこまで、常の泊りの浪人と思って、賛之丞には何も話していないと見える……」

三五兵衛は、困ったことになったと思った。

いくら賛之丞でも、自分がここへ来たのを知らなければ、慌てることも逃げる筈もないわけだ。そこらの出這入りに、誤って、顔と顔を見合すようなことは、絶対に気をつけなければいけない。

それにしても、一軒の家の中だ、いつどこでバッタリ鉢合せするか分らないから、何とか、あいつ奴、気がついてくれればいいが……。

「ウム」

三五兵衛はうなずいて、ふッ……と部屋の灯を吹き消した。

探りとった笛袋から抜いて、彼の指にかけられた八寒嘯は、やがて、氷柱の林からひびく木魂のように、鳴りだした。聞くからに寒い音色や、春日平六の言った鬼韻というような階調が、ほの暗い闇にうごく彼の指先からあやつり出された。

六

八寒嘯の音色だけは、一里へだてて吹いていても、賛之丞の耳に恐怖をおこす筈だ。かれは幾度も、この音に脅かされている。

三五兵衛は吹くのだった。