후리가나로 읽는 일본 고전
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
吉川 英治의 治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,609자 · 362화면
三
けれど慎吾には、この山村生活も何の意味をなさなかった。ほかの同僚を頤使して、相変らず空威張を通している、当然、村の煙火師たちからも、反感をもって見られていたが、家老のせがれというので、誰も、表面だけお坊っちゃんに扱って、虫を納めている。
で、慎吾は、いよいよいい気になっていた。
こんな暢気な出役なら、三年が五年でも続くがなあと思った。――そのうちに、他の四名と共に冬から泊っていた郷士の家の娘――お芳に恋をしていた。
今夜は、九の日だった。
月の九日、十九日、二十九日、こう三日の晩には必ず戸狩村の者一同が、郷士の教来石兵助の家に集まって、仕事上の打合せをする規約になっている。
「よう。御苦労さま」
「お疲れでござんす」
「こんばんは」
「はい、こんばんは」
老人、中老、若い男、夕刻になるとぞろぞろ兵助の屋敷に寄って来た。黒い大きな家の中に、この晩だけは、百目蝋燭が二十本ぐらい燈る。お芳も、べつな着物をきて、美しく化粧する。
三
教来石兵助のいまの家は、当主で二十何代目というだけあって、おそろしく古い建物だった。
そもそも、戸狩の百姓たちへ火薬の製法を教えたのが、村上義清に仕えた兵助の祖先ということであって、それが三百年の推移のうちに、雀化して蛤の類にもれず、あらかた農を捨てて本職の煙火師に化けてしまったというのが