후리가나로 읽는 일본 고전
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
吉川 英治의 治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,609자 · 362화면
二
馴れていても、やっぱりいいもんじゃねえな」
三尺帯の腰に挟んである草履をおろして、ビタつく足を突っかけた。――そして、流れのそばを去りかけると、ふいに、こらえていた笑いを放つような声が、頭の上から彼を驚かした。
「七之助、忘れものがあるぞ、忘れものが」
「えっ?」
と、蜻蛉のように首を廻した。
崖の中腹に、灌木の葉がうごいていた。いろの小白い、どこか嫌味っぽい侍の半身が、意地のわるそうな薄笑いをゆがめて、
「鋤だよ、七之助。おまえが今、墓場を掘った鋤じゃないか。流れの中へ忘れてゆくと、いつまで、お千代後家の死脂が里へ流れて行く――」
と、葉叢の中から沢の水を指さした。
二
土着の煙火師ばかりが三十戸もあるこの戸狩村には、冬のころから、松代藩のお狼火方の藩士が五人ほど出張して秋ぐちまでに作り上げる大仕事を督励していた。
今、七之助を皮肉った侍も、その出役組の一名である。
蜂屋慎吾といって、藩の次席家老のせがれであるが、少し流行の洋学かぶれがして、変屈者に出来あがってしまった上に、虚弱で困るという親心から、彼の父が、わざわざ藩の狼火方同心にたのんで、この山間僻地の勤務へ、懲戒という意味で、役付きを廻してよこしたのだという、厄介な男であった。