후리가나로 읽는 일본 고전
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
菊池 寛의 真珠夫人(しんじゅふじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 289,296자 · 578화면
父はやっぱり兄の書斎にいた。先刻と寸分違わない位置にいた。たゞ、傍にあった椅子を引き寄せて、腰を下したまゝじっと俯いているのだった。たった一人の男の子に、背き去られた父の顔を見ると、瑠璃子の眼には新しい涙が、また一時に湧いて来るのであった。此の頃、交じりかけた白髪が急に眼に立つように思った。
『歯が脱けて演説の時に声が洩れて困まる』と、此頃口癖のように云う通、口の辺が淋しく凋びているのが、急に眼に付くように思った。
一生を通じて、やって来た仕事が、自分の子から理解せられない、それほど淋しいことが、世の中にあるだろうかと思うと、瑠璃子は、父に言葉をかける力もなくなって、その儘床の上に、再び泣き崩れた。
最愛の娘の涙に誘われたのであろう。老いた政治家の頬にも、一条の涙の痕が印せられた。
「瑠璃子!」父の声には、先刻のような元気はなかった。
「はい!」瑠璃子は、涙声でかすかに答えた。
「出て行ったかい! 彼は?」遉に何処となく恩愛の情が纏わっている声だった。
「はい!」彼女の声は前よりも、力がなかった。
「いやいゝ。出て行くがいゝ。志を異にすれば親でない、子でない、血縁は続いていても路傍の人だ。