후리가나로 읽는 일본 고전
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
菊池 寛의 真珠夫人(しんじゅふじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 289,296자 · 578화면
一
強羅の電車停留場まで、一気に馳け降りたけれども、其処には電車の影は、なかった。彼は、そこに二三分間待ったが、心の底から沸々と湧き上っている感情の嵐は、彼を一分もじっとさせていなかった。電車を待っているような心の落着は、少しもなかった。彼は、宮の下まで、走りつゞけようと決心した。そう決心すると、前よりは、もっと烈しい勢で、別荘が両方に立ち並んだ道を、一散に馳け始めた。
初め馳けている間、彼の頭には、何もなかった。たゞ、彼をあんなに恥しめた瑠璃子の顔が、彼の頭の中で、大きくなったり、小さくなったり、幾つにも分れて、巴のように渦巻いたりした。
が、だん/\走りつゞけて、早川の岸に出たときには、彼の身体が、疲れるのと一緒に、疲労から来る落着が、彼の狂いかけていた頭を、だん/\冷静にしていた。
彼の走る速力が緩むのと同時に、彼の頭は、だん/\いろ/\な事を考え初めていた。
彼が、死んだ兄と一緒に、荘田の家へ、出入し初めた頃のことなどが、ぼんやりと頭の中に浮んで来た。
荘田夫人の美しい端麗な容貌や、その溌剌として華やかな動作や、その秀れた教養や趣味に、兄も自分も、若い心を、引き寄せられて行った頃の思い出が、後から/\頭の中に浮んで来た。