후리가나로 읽는 일본 고전
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
本庄 陸男의 石狩川(いしかりがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 253,535자 · 506화면
するとその瞬間から、彼は老人でないのであった。いや、ここに――彼の家中には、愚痴を云う老人はいなくなっていた。聚落の小屋かげに隠れるまでそれを見送って、邦夷は阿賀妻をふりかえって云った。
「みんなよろこんでおる」
「よろこんでおります」
もとの家老はそう答えて頭を低げた。その丘の上に主従は立っていた。複雑なものが彼らの胸中に去来していたにちがいないのに、彼らはむしろ虚ろな表情をしていた。横から朝の陽が射しているのだ。眩しいイシカリの平原と、その時刻の光はあたかも平行に――ながい、捉えどころのない影を海に向って投げていた。
運搬係りは今日を有終の美にする意気ごみであった。新通路の祝いのために肩にして行くあれこれを昨夜から準備していた。すべては、野のなかで行われる饗宴を飾るためであった。そして、彼らを率いて先頭に立つのが、白髪赭顔の隊長である相田清祐であった。陣羽織も野袴も折目ただしく端然としていた。恐らくこれは、これもまた矍鑠としているであろう気丈な彼の老妻が、困苦のなかにいよいよ澄んだ配慮を物語っていた。その上に、彼は白無垢の布を肩から吊って、胸にうやうやしく白木の祠をかかえていた。