후리가나로 읽는 일본 고전
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 魔術師(まじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 139,264자 · 280화면
人々はその時、怪猫の口辺を見た。そして余りの恐ろしさに、思わず顔をそむけないではいられなかった。
浅間しい動物は、主人が死んだとも知らないで、全身真赤になる程も、血みどろの死体にじゃれついていたものに相違ない。じゃれついたばかりではない。彼は主人の傷口をなめ、流れる血のりを呑んだのだ。そうでなくて、あんな恐ろしい口になる筈はない。鋸の様な鋭い歯まで真赤に染っていたではないか。舌の上にはとろとろした血のりが溜っていたではないか。彼はその舌で、ポトポトと赤いしずくを垂らしながら、口辺を嘗め廻した。
「ミャオー」と一声、不気味に優しい鳴声を立てると、真赤な猫は、人々の驚きを無視して、点々と血潮の足跡を印しながら、ノソリノソリ裏口の方へ歩いて行った。まるで彼自身が殺人犯人ででもある様に、奥底の知れぬふてぶてしさで。
人々は次に、扉の破目から、室内の様子を眺めた。
ともしたままの明るい電燈の下に、福田氏のパジャマ姿の下半身が横わっていた。胸から上は寝室に隠れて見えぬのだ。恐らくは猫がじゃれついた為であろう、足の先まで血に染っている。
だが、異様に感じられたのは、死体そのものよりも、死体の上やその周囲に、恰も死者を弔い死体を飾るものの如く、夥しい野菊の花が、美しく散り乱れていたことである。