후리가나로 읽는 일본 고전
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 魔術師(まじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 139,264자 · 280화면
明智はその時、娘の美しい顔が、目の前に迫って、意味ありげにじっと彼の目を見つめているのを感じた。スースーとはずんだ呼吸の音や、早まった心臓の鼓動さえ聞取れる様な気がした。
次の瞬間、娘の一方の手が彼の背中に廻ったかと思うと、明智はうしろに組んでいた手先に鋭い痛みを感じ、アッと声を立てようとしたが、娘の哀願する様な一種異様の目くばせを見てじっとそれをこらえた。
彼女は腕をまくり終って人々のうしろに退くと、道化師は注射器をかざす様にして、明智の側にしゃがみ、空いた手であらわな腕の肉をつまみ上げ、ジリジリと注射器の針を近づけて行った。
その時、突然非常に変なことが――当の明智さえびっくりした様な出来事が起った。ガチャンとひどい音がしたかと思うとランプが消えて室内が真暗になり、熱いガラスの破片がバラバラと人々の上に落散った。誰の仕業か、天井の空気ランプに何かをぶっつけたのだ。
「ぶっ放せ。ピストルをぶっ放せ」
道化師の極度に狼狽した声が闇の中に響いた。彼は明智小五郎が何かしら不思議な力でこの椿事を惹起したものと思込んだのである。だが、明智自身も何が何だかさっぱり分らず、思いがけぬ幸運をいぶかるばかりであった。