일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

若山 牧水의 みなかみ紀行(みなかみきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 102,087자 · 203화면

아오조라 문고

月がくっきりと我等の影をその霜の上に落していた。

焼岳と乗鞍岳との中間に在る様なその山あいの湯は意外にもこんでいた。案内者の昔馴染だという一軒の湯宿に入ってゆくと、普通の部屋は全部他の客人でふさがっていた。止むなく屋根裏の様な不思議な部屋に通されたが、もう然し他の家に好い部屋を探すなどという元気はなかったのである。

やがてその怪しき部屋で我等二人の「命びろい」の祝いの酒が始まった。まったく焼岳の亀裂の谷では二人とも命の危険を感じたのであった。這いかけた岩の腹から辷り落るか、若しくは崖の上から落ちて来る石に打たるるか、どちらかの運命が我等のいずれにか、或は双方ともにか、落ちて来るに相違ないと思われたのであった。其時の名残に荒れ傷いた両手の指や爪をお互いに眺め合いながら一つ二つと重ねてゆく酒の味いは真実涙にまさる思いがするのであった。

路に迷ったのは兎に角として蒲田や福地温泉の現状すら知らずにいた此老爺は或はもう老耄し果てているのではあるまいかと心中ひそかに不審と憤りとを覚えていたのであったが、其皺だらけの顔に真実命びろいの喜びを表わして埒もなく飲み埒もなく食い、埒もなく笑いころげている姿を見ていると、わけもなく私はこの老爺がいじらしくなった。