일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

岸田 国士의 光は影を(ひかりはかげを)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 138,262자 · 276화면

아오조라 문고

四

もちろん、彼は、それをとがめる気もせず、そんな権利はどこにもないことを知つていた。おそらく縁あつて他家へ嫁いだか、かねて苦にしていた胸の病が高じたか、それとも、戦乱の渦にのまれた犠牲の一人になつたか、そのいずれかと彼はひとりできめてしまい、また相逢う日があろうなど、望んでもいなかつたくらいである。

しかし、それとこれとは別である。彼は、高円寺駅のすぐ手前の踏切を左に折れ、杉ノ木口の方へ、通りなれた道を、そらで詩を口吟むように、からだに調子をつけて、ぶらぶらと歩いて行つた。

以前のまゝの門構えの二階家、以前のまゝの門標、たゞ、「味岡」と白木へ書いた墨の字が、彼のじつと据えた眼の中へ、生々しく飛び込んだ。

「あゝ」

と、彼は、心の中で、意味もなく呟いた。なにが、「あゝ」なのか。彼女の顔が、かつて、のぞき、彼女の影が、かつて、映つていた二階の張出し窓は、雨戸が固く閉じられ、やがて朝日の射すであろう白々とした障子さえ、今は、見るすべもないのである。それは、なんの想像もゆるさず、なんの気配も感じさせない、一切を彼と彼女から隔てる時と空間の象徴であつた。

四

阿佐ヶ谷まで、また、電車線路を伝つて歩いた。