일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

嗟嘆

『庭の無花果が芽を吹き、小さな果を持つ頃、蛞蝓は現れて来る。小さな青い無花果の嘘の果を見て、ほう、今年はもう無花果がなるのかしら、と亭主は感心している。こんな阿房な亭主だから、蛞蝓までこちらを馬鹿にして、するすると台所に侵入して来るのである。……』

私はその頃、こんな戯文を書いて、妻に示したことがある。すると妻も「蛞蝓退治」と題して、何か書こうとするのであった。

蛞蝓は、しかし、あの南風でねとねとする風土と、むかむかするその頃の世相を象徴しているようでもあった。何だか訳のわからない気持のわるいものが、外にも内にも溢れていた。妻が病気する前のことで、昭和十三年頃のことである。

嗟嘆

日盛の静かな時刻であった。私は椅子にねころんで、ぼんやり本を展げていた。露次の方に、荷車の音がして、垣のところの芥箱の蓋があく音がする。塵取人夫の来ていることは、その音でもわかる。窓に面した六畳の方で、妻の立上って、台所へ行く気配がする。暫くすると、窓のところで、「御苦労さま」と人夫に呼びかけている一きわ快活そうな声がする。「これ一つ」と何か差出したのは、多分、梅焼酎だったのだろう。