일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

など話合っているのをきかされていたが、「お菓子が食べたい」という妻の訴えは、普通の人のそれとは少し違っていたらしい。ひどく銷然としているので、私は妻を慰めるつもりで、その傍にねそべり、一時間あまりも菓子の話をした。思い出してみれば、世の中には随分いろんな菓子があったものだ。幼い時から親しんだ菓子の名前がすぐ念頭に浮かび、その恰好や、色彩をお互に話し合った。娘の頃から抹茶を習っている妻は、日本菓子について詳しかった。さまざまの記憶を静かに語り合っていると、もう返って来ぬ夢のように、うっとりと絶望するのであった。

妻の母は娘を悦ばすために、東京からわざわざ蓬団子を拵えて持って来ることがあった。すると、妻は重箱に詰められた団子を、見る見るうちに平らげてしまうのであった。これまでにないことであった。たまたま、私も学校で生徒の父兄から贈られた菓子を少し頒けてもらった。甘納豆、豆板、飴玉など、この時も妻は悦んだ。だが、菓子を食べても、ものを貪っても、どうも妻は元気にならなかった。ものに憑かれたように、たらふく食事をした後では、ぐいぐいと水を飲んだ。それが、糖尿病の所為だとは、暫くの間まだ気がつかなかったのである。