후리가나로 읽는 일본 고전
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면
妻が嫁ぐとき持って来た品々は、まだその土蔵の長持の中に呼吸づいていて、それが私の嘆きを新たにした。警報がよく出てあわただしい頃ではあったが、私は時折、土蔵の二階へ行って、女学生の頃使用していたものらしい物尺や筆入などを眺めた。はじめて島田を結ったとき使ったきり、そのまま埋没されていた頭の飾りも出て来た。私は刺繍の袱紗の上に、綺麗な櫛など飾って四五日眺め、やがて一纏めにすると妻の郷里へ送り届けた。それから空箱になった木の箱には、私の夏の洋服やシャツを詰めて、田舎の方へ疎開させておいた。
原子爆弾のため、広島の家は灰燼に帰し、久しく私が使用していた机も本箱も、みんな喪われた。だが、八幡村へ疎開させておいた洋服箱は無事であった。私は八幡村の農家の二階で、この箱を机の代用にすることを思いつき、そこで半歳あまり、ものを書くのに堪えて来た。昭和二十一年三月、私は東京の友人のところへ下宿することに決心したが、荷物を送り出すについて、この箱が一番気にかかった。薄い板で出来ている箱ゆえ、もしかすると途中で壊れてしまいそうだし、それかといって、どうしても諦めてしまうことは出来なかった。