후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
なんの注射かはわからないが、そのように数多く打つとすれば中毒性の薬に相違ない。新聞社に勤めている辰弥の頭には、幾種類かの禁制薬品の名がうかび、この医者は信用できないぞと思った。
その病室にはベッドが二つ並んでいた。それ以上は一台のベッドも入れる余地もない狭さで、窓のくもり硝子の多くはひび破れており、そこに紙を貼って保たせてあった。あにきは手前のベッドで、窓のほうへ頭を向けて寝ていた。カバーなしの垢じみた毛布が掛けてあるため、胸から下は見えないが、頭部は眼と鼻と口が覗いているほか、すっかり包帯で巻かれているし、毛布の上に出ている両手も包帯で巻いてあり、どちらも滲み出た血で染まっていた。
「これが本人の所持品です」院長はサイド・テーブルの上にある物を指さした、「見るだけ見てもいいが、係り官が来るまでは手をつけないように、ああ、これは係り官の命令だから」
辰弥は頷いた。
母はあにきの枕許へ走り寄り、頭の上へのしかかるようにして、おろおろと名を呼び、話しかけていた。院長は形式的に脈をみようとさえせず、ぶったくらない病院の経営がいかに困難であるか、とぐちを並べたり、こんどの治療費が意外に高くついたとか、なになにという新輸入の注射薬を使ってみたいのだが、あまり高価なので考えている、などということをくどくどと呟いていた