후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,320자 · 398화면
甲州の中においてすら、ややもすると、
(信玄公が御在世ならば)
という声がする。
一族、譜代の輩が、折にふれ、事にふれ、故主を慕うこころは、それだけの空虚を今に抱いている証左だともいえる。
信玄は、強力な軍国政治で押し通した。けれど、一族郎党をして、いや領民すべてのものに、
(この主君があるからには)
という絶対な安全感をもたせて、自分に頼らせきった。
勝頼の代となっても、軍役、徴税、そのほかの諸政すべて、信玄の遺法どおりに行っていたが、何か欠けていた。
勝頼には、その欠けている「何か」が、何であるか分らなかった。いや、欠けていることすら気づかない憾みがあった。
和と。中心への信頼だった。
こう二つの足らない強力な信玄政治は、却って一族の和を齟齬しはじめた。ひいては、信玄時代には、上下一般の信条だった――甲州ノ四境ハ一歩モ敵ニ踏マセタル例ナシ――という誇りにも、
(この分では)
という危惧をどことなく抱かせるような傾きがあらわれて来た。
それが長篠の大蹉跌を境にして、顕著となって来たことはいうまでもない。あの大敗戦は、ただに甲軍の装備とか戦略上の失敗とかにとどまらず、勝頼の性格的な短所――また日常の強気に対しても、彼を柱と恃む周囲や一般が、ひどく失望を覚えて、