후리가나로 읽는 일본 고전
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
吉川 英治의 治郎吉格子 名作短編集(一)(じろきちこうし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,609자 · 362화면
と言って、叔父の手前、申し訳ばかりにこんな事していても、なおさら自分の身が立たない。
「江戸から姿を隠して、叔父にも鳥取の者にも、一生会わないことにしよう」
こう考えたりした。
しかし醤油賭のまきぞえを食って、七日分の日傭賃も親方から借出されてしまってある。当座の小遣だけでも持たずには、まさか、この裸一貫で、何処へ行って何をしようもない。
こんな引込思案は、左次郎の持前だった。
そうこうするうちに、日が暮れると、今日から砂利場へ出かけた連中がゾロゾロと帰って来たが、みんなグンニャリして、ろくすっぽ口数もきかない。
「おれも明日から、左次公と一緒に風邪ッぴきになるよ。もう、働くのは嫌になった」
と、誰かが、たった一度、大きな声で言ったきり、みんな脚気のように足を伸ばして、湯に行こうと先に立つ者もない。
そこへ、亀親方がのっそりと帰って来て、
「話がある、みんな、円くなれ」
と、どっかり坐った。
菊花石の顔を少し険しくして、電光のように、しきりと右の眼を顰めている様子。
お出なすったぜ――という風に、一同、元気なく膝を直したが、左次郎だけは起きなかった。