후리가나로 읽는 일본 고전
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 秘境の日輪旗(ひきょうのにちりんき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 84,829자 · 169화면
兄の友達の、鳥尾軍医大尉だった。
「ニュース映画でも見に行って来たのかね」
「それどころじゃありませんよ。僕、忙しいんですから」
「あっはっは……忙しいのはお互いさまだが、参考になるから、自分もこれから見に行くところだ……ときに、兄さんから、たよりがあるかい?」
「なんにもないんですよ、まい日待ってるんだけど」
「そうだろうそうだろう、自分の想像だが、大活躍しとるらしいな、羨しいよ、じっさい、そのうち家へ遊びに来んか、じゃあ失敬!」
大尉は軽く手をあげると、雪のかかったマントを、一とゆすりゆすって、さっさと電車通りの方へ行ってしまった。
英夫の家へ行く、路地の曲り角に、低い石の透垣をまわした、洒落れた家がある。――二、三年前まで、英夫の同級生の、祥子たち一家の住んでいた家だった。京橋に南方相手の大きな貿易商、園部洋行を経営していた園部家の本宅で、英夫の家とも親しくしていたが、商いに失敗してから、主人公も亡くなり、今は東北の田舎に住んでいるはずだった。
その前を通ると、いつも祥子が弾いていた、ピアノの練習曲が聞えるような気がするのだったが、門口には、今は見も知らない人の表札がかかっていて、さびしかった。