후리가나로 읽는 일본 고전
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おうがいのけんこうとし
耄碌寸前
森 於菟
森 於菟의 耄碌寸前(おうがいのけんこうとし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 43,925자 · 89화면
新聞社はおそらく誰人の住んだ家とも知らず一小火災として扱ったのであろうが、これが観潮楼の最後かと私の心には何ともいえぬ憤ろしさがこみあげて来た。
かつて大正十一年の夏、父の死をベルリンの下宿で知った私は、その後ドイツ国内巡遊の折、ゲーテ、シルレル等の住居が文豪の在りし日のままに保存されるのを見て、己れが観潮楼を受け継いでも、紙と木とからなる日本の家はとうていかくのごとき保存に堪えず、遠からず朽ちて土に委するであろうとは思ったが、さて帰朝してみると、思ったよりもさらに早く腐朽に傾く日本の家屋はとうてい一私人、それが莫大なる資産でも擁せぬ限り、個人がその保全の責を全うすることはできぬものであることが明らかとなってきた。さりとて主人としての私がある以上、ことに歴史のさして古からぬものを史蹟として政府または財団の保管に委ねることは実際上には望み得ず、いずれはやむをえず根本的の改築をして、観潮楼の旧態をとどめぬという誹謗を受くる日も遠くはあるまいと覚悟したが、かくまで悲惨な最後を遂げようとは思いも及ばなかった。つまり種々の事情によるとはいえ、私のごときその器にあらざるものがこの由緒ある家の主人となったからではあるまいかとさえ考えたのである。