후리가나로 읽는 일본 고전
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 魔術師(まじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 139,264자 · 280화면
明智は、まっしぐらに走った。と、五六歩も行かぬ内に妙な欄干みたいなものに突き当ってしまった。
「アハハハハハハ、驚いたか小僧、ここをどこだと思っているんだ。お前泳ぎが出来るのか。イヤサ、この海が泳ぎ切れると云うのか」
道化師の高笑いに、ハッとして欄干の下を見ると、星明りにもそれと知られる、水、水、水、真黒くうねる、果てしも知らぬ大海原だ。
アア、ここは陸上ではなかったのだ。どこの海かは知らぬけれど、陸地を遠く離れた船の上なのだ。道理こそ、陸上では今時見られぬ石油ランプだ。窓のない密室だ。絶えず眩暈の様に動揺する部屋だ。海が凪いでいた為に、それに余りにも意外な場所なので、まさか船の上とは気づかなんだが、恐らくあの夜、失神している間に自動車からこの船に移され、牢獄船は岸を離れて遠く沖合に乗り出したものに相違ない。アア、船とは、船とは、犯罪者にとって、何という理想の隠れがであろう。
明智とて水泳の心得がないではなかった。併し、見渡す限り水又水のこの大海原を、どうして泳ぎ渡ることが出来ようぞ。うしろには迫る強敵、前には果てしれぬ黒い水、折角ここまで逃れながら、又しても、又しても絶体絶命である。