후리가나로 읽는 일본 고전
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がいらいごしょかん
九鬼周造随筆集
九鬼 周造
九鬼 周造의 九鬼周造随筆集(がいらいごしょかん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,312자 · 27화면
小唄のレコード
林芙美子女史が北京の旅の帰りに京都へ寄った。秋の夜だった。成瀬無極氏と一緒に私の家へ見えた。日本の対支外交や排日問題などについて意見を述べたり、英米の対支文化事業や支那女性の現代的覚醒を驚嘆していた。支那の陶器の話も出た。何かの拍子に女史が小唄が好きだといったので、小唄のレコードをかけて三人で聴いた。
「小唄を聴いているとなんにもどうでもかまわないという気になってしまう」
と女史がいった。私はその言葉に心の底から共鳴して、
「私もほんとうにそのとおりに思う。こういうものを聴くとなにもどうでもよくなる」
といった。すると無極氏は喜びを満面にあらわして、
「今まであなたはそういうことをいわなかったではないか」
と私に詰るようにいった。その瞬間に三人とも一緒に瞼を熱くして三人の眼から涙がにじみ出たのを私は感じた。男がつい口に出して言わないことを林さんが正直に言ってくれたのだ。無極氏は、
「我々がふだん苦にしていることなどはみんなつまらないことばかりなのだ」
といって感慨を押え切れないように、立って部屋の内をぐるぐる歩き出した。林さんは黙ってじっと下を向いていた。私はここにいる三人はみな無の深淵の上に壊れやすい仮小屋を建てて住んでいる人間たちなのだと感じた。