후리가나로 읽는 일본 고전
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면
その樹は恰度父が死んだ部屋のすぐ近くの地面から伸び上り、二階の窓のところに二股の幹を見せていたが、僕は窓際に坐って、青く繁った葉の一つ一つの透間にしずかに漾う影を見とれた。殆どその楓の樹は僕のすべての夢想を抱きとってくれたようであった。幹には父親のような皺があったが、光沢のいい小さな葉は柔かにそよいでいた。夜もそこに繁った葉があることを考えると、ひっそりと落着くのだった。雨の日はしずかなつぶやきが葉のなかにきこえた。僕はその密集する葉をそのまま鬱蒼とした森林のように感じたり、霊魂のやすらう場所のようにおもった。そして、僕はもう同じ齢頃の喧騒好きの少年たちとは、どうしても一緒になれなかったし、学校の課業にはまるで張合を失っていた。僕は子供のとき考えていた僕とはすっかり変っている自分に面喰いだした。僕は何になりたいのか、わからなかったし、大人たちが作っている実際の世界は僕にはやりきれないもののように思えだした。僕は運動場の喧騒を避けて、いつも一人で植物園のなかを歩いた。そうすると、樹木の上の空が無限のかなたにじっと結びつけられているのがわかったし、樹影の沈黙のなかに秘められている言葉がみつかりそうだった。