후리가나로 읽는 일본 고전
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
亀井 勝一郎의 大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,647자 · 215화면
宝蔵殿にて
自分の過ぎし方を一つ一つ辿って行けば、苦りきってしまうより他にないのであるが、いまは何も考えたくなかった。昨年ここへ来た折は一つの願いがあった。自分は自分を忘れる必要があったのである。一切忘却の果にくる無上歓喜を百済観音は私に与えてくれた。私はそのことを感謝の念をもっていつも思い出す。しかし今日の私には何の願いもない。春のけだるさのままに、いささか億劫な気持で金堂へやって来たのである。怠惰な旅人には百済観音は何の恵みも与え給わぬのであろうか。だが天平の聖観音は、怠惰の日の私にとって、怠惰そのものが一つのふしぎな生命であることを語ったように思う。
――昭和十三年春――
宝蔵殿にて
古寺を巡るごとに、諸仏に対する私の感慨も次第に変ってくる。はじめての日のような素直な感動は少くなって、へんにいらだたしくなったり、或は不安を覚ゆるようなことが多い。どれほど美しく尊いものも、度重ねてみているうちには日常茶飯事になってしまうのだろうか。いつの間にか慣れてしまって、自分の感受性も鈍くなるのだろうか。しかしそうとばかり言えないものが私の心にわだかまってきた。古寺とはそもそも何だろう。