일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひかげのまち

幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選

松本 泰

松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면

아오조라 문고

目の下の大通りを数限りない自動車や、乗合自動車が右往左往に疾走ってゆく、両側に立並んだ、明るい飾窓の前を、黒い人影が隙間もなく、ギッシリとかたまり合って、宛然、黒い川を押流したように、動いている。じっと心を落着けると、今迄気付かなかった自動車の警笛、停車場の汽笛、その他様々な物音が相まじり合って、異様などよみをつくっている。気のせいか、何処かで管弦楽をやっているようだ。

私はフト思いついて、廊下伝いにサボイ劇場へ入った。私は服装を遠慮してわざと二階の後方の席を買った。芝居は至極あまいもので、些しも私の感興を唆らなかった。平常の私なら、一幕が済むと、欠伸をして帰り仕度をするのであるが明日からは当分芝居も見られぬという境遇が、名残を惜しませるのか、寒い風の吹いている戸外へ出るのが大儀だったのか、私は夢心地に満堂の拍手の音を聞きながら、漫然と幕の上ったり、下りたりするのを眺めていた。

私の右手の空席を一つおいて、二人の男が頻りに話合っていたが、フト私と顔を合せると、

「今度の幕合は何分だね」と仏蘭西語で横柄に訊ねた。永らく英国に暮していた私は、見知らぬ他人から猥りに言葉をかけられるのを快く思わなかった。