후리가나로 읽는 일본 고전
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つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
大下 宇陀児의 探偵クラブ 烙印(つめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,509자 · 103화면
が、彼はいつもそれを自分一人の胸の中へそっと蔵い込んでしまって、文学論などは一度も発表したことがない。その文学論のうちに、どんなに些細な一ヶ所でも、他から揚足を取られるようなことがあってはならない。とそればかりをくよくよ心配する。事実又、稀に友人の誰彼と議論などを闘わしても、彼はその途中で相手から何か一寸したロジックの誤りを指摘されると、もうそれだけで狼狽の極に達し、顔を真赤にして支離滅裂なことを云い出してしまう。結局は、大綱から観て明かに正当な彼の説も、表面上では見事に相手から圧し潰される。そういったような人柄で彼はあったのだ。
この非現代的な弱い性格の沖野鳳亭に対して、竹中格之進も住谷良子も、常々から彼を蔑視っていたことは確かである。竹中格之進は、大学出身の理学士だが、相当富豪であるのを幸に、今は別に何処へ勤めるでもなく、自分の家に研究室を造って、道楽に細菌学の研究などをやっている。もとからの友達なので、その竹中の家へ時々沖野が遊びに出掛けるという訳であったが、その頃、新進のピアニストとして大分有名になりかかっていた住谷良子を、最初に知ったのは沖野だった。