후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
し、その半死半生になったのをそのままに捨て置いた。で、お住は苦しいと口惜いに心も乱れたと見えて、いつかその池の畔へ這寄って、水底深く沈んで了ったとは、如何にも無惨極まる次第で、その時代の事であるから何事も内分に済せて、死骸は親許へ引渡し、それで無雑作に埒が明いた、しかしその後に別に怪しい事もなく、その主人は已に世を去り、その息子も世を去って、当主隼人の代になった、その間恰も五十年を経過しているから、その頃の奉公人なども或は死し、或は暇を取って、当時は誰もこれを知る者もなく、現に当主の隼人すらも一向に知らぬ位、随って他から縁付いた江原の妹やましてその小児などが夢にも知ろう筈はなく、又曾てそんな事があったろうと偶然に思い付く道理もない。知っていればこそ心の迷いも起れ、知らぬ者の眼に怪しい影の映ろう筈がなく、ましてその小児がお住の名を知って居ろう筈がない、シテ見れば正しくお住その者の幽魂が迷って出たに相違ない。数うれば当年は恰もその五十回忌に相当すると、隠居は懺愧と恐怖に顔色を変えて了った。
隠居一人が胸に秘めて、五十年来誰にも洩さなかった秘密が、ここに初めて露見したので、孫の隼人を初め江原も縡の不思議に驚いて、この上は唯一図に嘘だとか馬鹿馬鹿しいとか云消して了う訳には往かぬ。