후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
末の弟、すなわち私の叔父も十九歳で一緒に行った。そのころ富津付近は竹藪や田畑ばかりであったが、それでも木更津街道にむかったところには農家や商家が断続につらなっていた。殊に台場が出来てから、そのあたりもだんだんに開けてきて、いつの間にか小料理屋なども出来た。
九月はじめの午後に、父と叔父は吉田という同役の若侍と連れ立って、ある小料理屋へ行った。父は下戸であるが叔父と吉田は少し飲むので、しばらくそこで飲んで食って、夕七つ(午後四時)を過ぎた頃に帰った。その帰り路のことである。長い田圃路にさしかかると、叔父はとかくによろよろして、ややもすると田の中へ踏み込もうとする。おそらく酔っているのであろうと父は思った。ええ、意気地のない奴だ、しっかりしろと小言を言いながら、その手を把るようにして歩いてゆくと、叔父はしばらく真っ直ぐにあるくかと思うと、又よろよろとよろめいて田の中へ踏み込もうとする。それが幾たびか繰り返されるので、父もすこし不思議に思った。
「お前は狐にでも化かされているんじゃないか。」
言う時に、連れの吉田が叫んだ。
「あ、いる、いる。あすこにいる。