후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,903자 · 400화면
いま光秀は、ここに坐して、五月雨の雨滴の中に、冷々と、そうした感傷の思い出を心に聴き、また従兄弟の光春は、彼の目に触れない遠い小間で、炉の火加減をのぞき、釜師与次郎が作るところの名釜のあたたかな沸りを聞き、ひたすら茶境に浸ろうとしている。
一つの城に、異なる二つの心が住んだ。光秀と光春とは、まだ光春が弥平次といっていた幼い頃からほとんどひとつ家に育ち、それからの久しい困窮も、戦場の艱苦も、家庭の中の楽しみも、共にして来た上の従兄弟でもあったから、長じて後、疎遠になりがちな兄弟などよりも、はるかに骨肉的な情愛をもち合っている仲だったが、生れながらの性格だけは一つのものに縒りあうことはできない。今朝なども、こう二人は、ひとつ軒に住むとすぐ、かくの如くすぐその心のとおり違った姿をもってしばらく隔てていたのだった。
「どれ。……もうお召しかえもすんだ頃であろう」
やがて光春は、独り語して、釜のまえを起った。
そして濡れ縁をわたり、橋廊下をこえ、従兄弟の室として宛てがった幾部屋のうちのひとつへ、静かに入って行った。
隔てた部屋には、光秀の側臣たちの居住まう気配が聞えるが、そこにいたのは光秀ただひとりであった。