후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,903자 · 400화면
光秀はそこにいた。近習も小姓も見えない。ただ独り白絽の小袖を着、太刀、脇息を寄せて坐っていた。
燭の影がことさら青く見えたわけは、光秀のまわりに翠紗の蚊が広く繞っていたからであった。その翠紗の蚊※(「巾+厨」、第4水準2-8-91)は、眠るときは四方とも垂れるようになっているものだが、今は前の一面だけを開いて、蚊竹の上へ幕のように掛けてある。
「左馬介。ずっと寄ってくれ」
「はい」
と、にじり寄って、
「――何御用ですか」
「折り入っての談合だが。……お汝。この光秀に、命をくれぬか」
答えない。左馬介光春は、ものいう口を忘れたかのように、いつまでも、答えない。
彼のそのひとみと。
光秀の異様な耀きをおびたひとみと。
一穂の燭を横にして、凝視を相交わしていることも、依然であった。
「…………」
「…………」
命をくれぬか――という光秀のことばは簡にして明である。坂本以来、夢寐の間も、光春が心ひそかに惧れていたものは、実に、光秀がいつか自己に敗れて、この言をなすのではあるまいかという予感であった。
こよい、ついに光秀は、自分に向って、それを口に出した。光春としては必ずしも唐突なる驚きには打たれない。