후리가나로 읽는 일본 고전
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
山本 周五郎의 新潮記(しんちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 155,541자 · 305화면
「いろいろとむずかしい時代でございます」
頼胤は再びかるく兄の話題から躰をかわした。間もなく質素な午餉が出て、それが終ると二人は茶室へ席を移した。話はいくたびも時事に触れようとしながら、さりげない方へとそれた。どちらも相手に要求をもっている。兄は弟に対して幕府の先覚者たれと云いたいし、弟は兄に尊攘派の人々との往来を断って貰いたかった。そして同時に、兄は弟の地位の並々ならぬ困難さを知り、弟は兄の心事の動かすべからざることを了解している。こうして互いに相手に求めるものをもちつつ、相手の立場を理解するために云いだせないことが、ともすれば会話をとりとめのない方向へとそらせてしまうのであった。
半刻ほどして茶室を出ると、左近は弟をおのれの書斎へ案内していった。
「お忘れではなかろう」
「なんでございますか」
「あの上段にある甲冑」
左近が正座した膝を向直して床間を見やった。頼胤も兄に倣ってそちらへ眼を向けた。そこには一領の甲冑が飾ってあった。青、黄、赤と三段威の美しい鎧で、兜にも腹巻にも菊水の金章が打ってあった。
「楠氏の鎧でございますか」
「……そうだ」
「幼い頃いちにど拝見をした覚えはございますが、この鎧だったでしょうか、もっと古びたもののように思いましたが」