후리가나로 읽는 일본 고전
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りりょう
李陵・山月記・弟子・名人伝
中島 敦의 李陵・山月記・弟子・名人伝(りりょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 65,013자 · 129화면
李陵は、かつて先代単于の首を狙いながら、その目的を果たすとも、自分がそれをもって匈土の地を脱走しえなければ、せっかくの行為が空しく、漢にまで聞こえないであろうことを恐れて、ついに決行の機を見出しえなかった。人に知られざることを憂えぬ蘇武を前にして、彼はひそかに冷汗の出る思いであった。
最初の感動が過ぎ、二日三日とたつうちに、李陵の中にやはり一種のこだわりができてくるのをどうすることもできなかった。何を語るにつけても、己の過去と蘇武のそれとの対比がいちいちひっかかってくる。蘇武は義人、自分は売国奴と、それほどハッキリ考えはしないけれども、森と野と水との沈黙によって多年の間鍛え上げられた蘇武の厳しさの前には己の行為に対する唯一の弁明であった今までのわが苦悩のごときは一溜りもなく圧倒されるのを感じないわけにいかない。それに、気のせいか、日にちが立つにつれ、蘇武の己に対する態度の中に、何か富者が貧者に対するときのような――己の優越を知ったうえで相手に寛大であろうとする者の態度を感じはじめた。どことハッキリはいえないが、どうかした拍子にひょいとそういうものの感じられることがある。